石灰の選び方|「どれを買う?」を目的から逆算する
畑づくりでよく聞く「石灰」ですが、お店には苦土石灰・炭酸カルシウム(炭カル)・消石灰・ケイカル(珪酸石灰)など種類がたくさんあります。石灰は“土壌pHを動かしたいのか/ミネラルを補いたいのか/急いで効かせたいのか”で選ぶのが失敗しにくいです。
「石灰って、とりあえず入れた方がいいの?」と思いがちですが、いちばん大事なのはこれです。
石灰は「必要なときに、必要な分だけ」
多くの野菜は弱酸性〜中性の土を好み、目安として pH6.0〜6.5 に入ると育てやすい作物が多いです(作物で好みは違います)。
できれば簡易pH計や試験紙で、いまのpHを見てから決めると安全です。農林水産省
迷わない!石灰の選び方 3ステップ
Step1:まず「急いでるか?」
- 急いで pH を上げたい(すぐ植えたい/強い酸性っぽい)
→ 消石灰(ただし扱い注意)
※消石灰は強アルカリなので、施用後は 最低でも2週間あけて播種・定植が目安です。 - 急いでない(2週間以上余裕あり)
→ Step2へ
Step2:「マグネシウム(Mg)も足したいか?」
- よく分からない・迷う
→ 苦土石灰(Ca+Mgで万能寄り) - Mgは要らない(Ca中心でいい)
→ Step3へ
Step3:「できるだけ自然素材がいい?」
- 自然素材がいい/有機栽培で使いたい
→ 有機石灰(牡蠣殻・卵殻) - こだわらない/一般的な資材でOK
→ 炭カル(炭酸カルシウム
1つだけ買うなら、これ(超初心者のおすすめ)
- 迷ったら:苦土石灰(扱いやすく、CaとMgをまとめて補える)
- 自然素材派なら:牡蠣殻石灰(ゆっくり効くタイプが多く、急にpHを動かしにくい)
石灰資材の早見表(初心者向け)
目的別選び方
- 迷ったら:苦土石灰(Ca+Mg、効き方が比較的おだやか)
- pHをゆっくり上げたい/Ca補給中心:炭カル(炭酸カルシウム)
- 急いでpHを上げたい(ただし扱い注意):消石灰(速効・強アルカリ)
- 稲作でケイ酸も入れたい:ケイカル(珪酸石灰)
特徴の違い(ざっくり)
| 資材 | 主な中身 | 効き方 | 向く場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 苦土石灰 | Ca+Mg | おだやか〜中程度 | ふだんの土づくり、Mgも補給 | 入れすぎはNG |
| 炭カル | Ca | おだやか(緩効) | pHを急に動かしたくない | 効き始めがゆっくり |
| 消石灰 | Ca(OH)2 | 速効・強い | 強酸性の矯正を急ぐとき | 強アルカリで作物・皮膚に刺激、施用後は間隔を取る |
| 生石灰 | CaO | かなり強い | 基本は上級者向け | 水と反応して発熱、扱い難度が高い |
| 牡蠣殻石灰 | Ca | ゆっくり(緩効性) | 自然素材でやりたい/初心者 | 粒が粗いほどさらにゆっくり |
| 卵殻石灰(卵殻) | Ca (炭酸カルシウムと表記されることが多い) | かなりゆっくりになりがち | 家庭で出る殻を活用したい | 細かくしないと効きにくい |
消石灰・生石灰は強アルカリで、目や皮膚への危険性・水との反応(発熱)などがあるため、防護具(保護メガネ・手袋・マスク等)を前提に取り扱う注意喚起が農林水産省から出ています。
また、速効性資材は施用後、播種・定植まで2週間ほど間隔を取る目安がよく示されます(地域指導も確認してください)。
有機石灰(牡蠣殻・卵殻)はどう使い分ける?
- 牡蠣殻石灰:市販品が多く、緩効性で穏やか。初心者が「急に上げすぎた」を起こしにくいタイプです。
- 卵殻:主成分は炭酸カルシウムとされますが、家庭で砕いた程度だと粒が粗くなりやすく、効き方はかなりゆっくりになりがちです。乾かして、できるだけ細かくして使うのがコツです。
「苦土石灰を選ぶべき人/炭カルを選ぶべき人」
苦土石灰が向くケース
- 葉色が薄い・Mg欠乏が疑われる(特に砂質・雨が多い畑)
- 「pH矯正+ミネラル補給」を一度にやりたい
- 初心者で、まず安全側に倒したい
炭酸カルシウムが向くケース
- pHは上げたいが、急上昇は避けたい
- Ca補給をメインにしたい(尻腐れ対策“だけ”が目的なら、土壌pHより灌水・根張り・加里バランス等もセットで見直しが必要です)
よくある失敗(初心者あるある)
- 石灰を入れたのに効かない
→ 炭カル・牡蠣殻・卵殻は「ゆっくり効く」タイプが多いです。 - 植える直前に消石灰を入れた
→ 強アルカリで根を傷めるリスク。施用後は間隔を取るのが目安です。 - アルカリ性の資材と、アンモニア態窒素の肥料を混ぜた
→ 化学反応でアンモニアが揮散して、肥料効果が落ちる恐れがあります(混用は避けるのが安全)。 - 量が分からず“たくさん”入れた
→ 入れすぎは逆効果になり得ます。可能ならpH測定+袋の表示量を守るのがいちばん堅いです。
まとめ:超初心者は「苦土石灰」か「牡蠣殻石灰」からでOK
- 迷ったら 苦土石灰(万能寄り)
- 自然素材派なら 牡蠣殻石灰/卵殻石灰(ゆっくりタイプが多い)
- 急ぎで強く直すなら 消石灰(防護+間隔が必須)

